属調・・・主調の5thをスタート音(トニック)にもつ、同種の調
下属調・・・主調の4thをスタート音(トニック)にもつ、同種の調
これらの調は、主調に近しい(簡単に言うと、その調へ転調しても、♯や♭の変化が少なく、自然に転調できる調)なので、平行調や同主調と同じように曲中に頻繁に出てきます。
いわば、親戚に当たる調です。
この「属調」「下属調」に、「同主調」、「平行調」、「属調」、「下属調」の平行調も全部含めて、
関係調
という言い方をします。
関係調
下属調←(双子)→平行調
属調←(双子)→平行調
↑
(親戚)
↓
主調←(双子)→平行調
↑
(兄妹)
↓
同主調
*今回の図では、主調をメジャーと限定していません。
マイナーになるものは全て3種類のスケールになり得ます。
例えるなら、あるメジャースケールと平行短調は「男の子と女の子の双子」です。
そっくりですが、性別が違います。
そして、そのメジャースケールと同主短調とは「兄と妹」です。
生まれ(主音)は同じですが、性別が違い、双子程は似ていません。
では、この同主短調と平行短調の関係は・・・
そうですね、「姉と妹」になります。
そして、姉と妹は、TPOにあわせて「ナチュラル」「メロディック」「ハーモニック」の三つの顔を上手く使い分けて生活しているのです。(さすが女の子!)
まとめてみると、
(主調) 「ナチュラル」
基本の長調 ←(双子)→ 平行短調・・・ 「メロディック」
↑ 「ハーモニック」
(兄妹)
↓ 「ナチュラル」
同主短調・・・ 「メロディック」
「ハーモニック」
と言う関係になります。
では、実際に色々な角度から、同主調について話を進めていきましょう。
まずは軽くおさらい。
同主調とは、
「同じ音(例えばCならC)を主音(スタートの音)としているメジャーキーとマイナーキーの関係」
の事です。
表に表すと
1 2 3 4 5 6 7 1
全 全 半 全 全 全 半 メジャースケール
1 2 3 4 5 6 7 1
全 半 全 全 半 全 全 マイナースケール
となり、メジャースケールの3rd、6th、7thが半音下がった物が「同主短調」です。
ちなみに、メジャースケールを「ラ」から並べ直したものが「平行短調」でした。
1 2 3 4 5 6 7 1
全 半 全 全 半 全 全 ナチュラルマイナースケール
1 2 3 4 5 6 7 1
全 半 全 全 半 全半 半 ハーモニックマイナースケール
1 2 3 4 5 6 7 1
全 半 全 全 全 全 半 メロディックマイナースケール
1 2 3 4 5 6 7 1
全 全 半 全 全 全 半 メジャースケール
特に5th以降の後半に注目して下さい。
ナチュラル→ハーモニック→メロディックの順番で
メジャースケールに近づいている
事が分かると思います。
特にメロディックマイナースケールなどは、メジャースケールとたった一音しか違いません!!(3rdが半音下がっている)
これが、メロディックマイナーのページで触れた、メロディックマイナーのマイナー感の欠如(それゆえの下降時ナチュラルマイナーへの変化)の理由です。
「メロディックマイナースケール」(旋律的短音階)
です。
このスケールはハーモニックマイナースケールの6thと7thの間に出来た不安定な「全音+半音」(増二度音程)を解消するために、ハーモニックマイナースケールの6thを更に半音上げて作った(つまりナチュラルマイナースケールの6th、7th両方を半音上げた)スケールです。
メロディー(旋律)のために作られたマイナースケールなので「メロディックマイナースケール(旋律的短音階)」と言う訳です。
ただし、このメロディックマイナースケール、クラシックなどでは、
昇りはメロディックマイナースケール
降りはナチュラルマイナースケール
という決まりがあったりします。これは後で比較しますが、メロディックマイナースケールが余りにもメジャースケールに近寄ってしまっているため、降りをナチュラルマイナースケールにすることで、マイナー感を維持しようという事なのですが、ジャズ等ではこの決まりは使われておらず、昇りも降りもメロディックマイナースケールである事も多いです。なので最近では
下降時ナチュラルマイナーになるもの・・・クラシックメロディックマイナー
上昇、下降共メロディックマイナーのもの・・・ジャズメロディックマイナー
と呼んで区別する事もあります。
では度数で見てみましょう。
1 2 3 4 5 6 7 1
全 半 全 全 半 全 全 ナチュラルマイナースケール
1 2 3 4 5 6 7 1
全 半 全 全 半 全半 半 ハーモニックマイナースケール
1 2 3 4 5 6 7 1
全 半 全 全 全 全 半 メロディックマイナースケール
6thも半音上がった事で、6thと7thの間の「全音+半音(増二度音程)も解消されています。
「ハーモニックマイナースケール(和声的短音階)」
です。
このスケールはナチュラルマイナースケールをそのまま使って楽曲を作るとハーモニー(和声)の機能として不完全なため(ドミナントがⅤm7になる・・・初心者の方はまだ分からなくて大丈夫)、7thの音を半音上げて作られたものです。
ハーモニーのためのマイナースケールなので「ハーモニックマイナースケール(和声的短音階)」なわけです。
度数で確認すると
1 2 3 4 5 6 7 1
全 半 全 全 半 全 全 ナチュラルマイナースケール
1 2 3 4 5 6 7 1
全 半 全 全 半 全半 半 ハーモニックマイナースケール
となります。
7thが半音上がった事で、1stとの間が半音間隔になり、その代わり6thと7thの間が「全音+半音」間隔(増二度音程)になっています。
しかし、覚えているでしょうか?
マイナースケールは3種類ある
という話を。
今度は、度数を使って3種類のマイナースケールを比較してみましょう。
まず、名前から。
今まで、マイナースケールと書いてきたものを
「ナチュラルマイナースケール」(自然的短音階)
といいます。
メジャースケールを「ラ」から並べ直すと自然に出来るマイナースケールだから「ナチュラルマイナースケール(自然的短音階)」です。
これは分かり易いですね。
何度も書いていますが、普通マイナースケールといえば、このナチュラルマイナースケールの事です。
度数で表すと
1 2 3 4 5 6 7 1
全 半 全 全 半 全 全
となります。
1 2 3 4 5 6 7 1
全 全 半 全 全 全 半 メジャースケール
1 2 3 4 5 6 7 1
全 半 全 全 半 全 全 マイナースケール
1stと2ndの間は全音間隔で一緒ですが、2ndと3rdの間はメジャーは全音、マイナーは半音です。そしてそのズレを戻すように今度は3rdと4thの間隔がメジャーは半音、マイナーは全音になっています。
同様に5thと6thの間隔もメジャーの全音に対し、マイナーは半音。そのズレが、今度は一つ飛んで7thと1stがメジャーで半音、マイナーで全音になる事で解決して、一周した1stはきれいに並んでいます。
つまり、メジャースケールの
3rd、4th、7thを半音下げると
マイナースケールになる。
という事です。
まずはメジャースケールです。
ド レ ミ ファ ソ ラ シ ド
全 全 半 全 全 全 半
続いてマイナースケール。
ラ シ ド レ ミ ファ ソ ラ
全 半 全 全 半 全 全
と並んでいます。
次に、このままでは比較がわかりにくいので、スタートの音を1stとして、2nd、3rd
・・・と数字をふってみます。
ド レ ミ ファ ソ ラ シ ド
1 2 3 4 5 6 7 1
全 全 半 全 全 全 半 メジャースケール
1 2 3 4 5 6 7 1
全 半 全 全 半 全 全
ラ シ ド レ ミ ファ ソ ラ マイナースケール
まずはこの表をしっかり覚えて下さい。
同主調は、平行調よりは理解し易いと思います。
C△とCmの様に、同じスタート音から始まるメジャースケールとマイナースケール、そしてそれに基づくメジャーキーとマイナーキーの関係を同主調関係といいます。
今までの説明では、マイナースケールを理解し易いように「ラから始まるドレミ」として話を進めて来ましたが、ここからは同主調の理解の為に、「メジャースケールのミ、ラ、シがb(フラット)したものがナチュラルマイナースケール」として話を進めます。
始めに、なぜミ、ラ、シがbするとマイナースケールなのか、を考えてみましょう。
ドレミ・・・の音並びは、全音と半音という二つの音程(音と音との間隔)が組み合わさって出来ています。
ド レ ミ ファ ソ ラ シ ド
全 全 半 全 全 全 半
少し判り難いですが、上の様にミとファ、シとドは半音、その他の音の間隔は全音間隔です。
ギターで説明すると、
半音間隔が隣り合ったフレット同士の音の音程
全音間隔が一つ飛びのフレットにある音との音程
つまり、ミとファ、シとドは隣同士。その他の音は一つ飛びにあるという事です。
この辺りの話も、ギターを持って説明すればわかり易いのですが、文字では中々上手く説明出来ないので、じっくりギターと向き合って理解して下さい。
詳しい説明は、後で書こうと思っていますが、平行短調は、実は作曲に非常によく使われているのです。
多くの楽曲は、スケールを元に音を積み重ねたコードを一定の法則で組み合わせる事で、コード進行を作っています。
このコードもまた、平行調関係や同主調関係(同主調関係については後述)を多く取り入れているのです。
なので、当然プレイする際にも、そのコード進行がマイナースケール由来である事を理解しておかなければいけません。
さらに、今までの話は3種類のマイナースケールの内、ナチュラルマイナースケールだけに限定した話でしたが、ハーモニックマイナーやメロディックマイナーを元にしたコードなどもありますので、それらの理解も必要だったりします。
どうですか?
「これ以上まだあるんかい!!」
とお思いですか。
でも大丈夫です。一つ一つ確実に基本を理解していけば、後はその基本知識を使って考えていけば特別難しい話ではありません。
理論が分からない人の多くは、
掛け算、割り算が出来ないのに二次関数を解こうとしているのです!
それでは、理解できないのが当たり前なんですね。
ですから、やはり自分で考えられるようになる為の基本の部分は、しっかり習っておく事をオススメします。
まず、軽くおさらい。
メジャースケールとマイナースケールはスタートが違うだけです。
メジャースケール ド レ ミ ファ ソ ラ シ
マイナースケール ラ シ ド レ ミ ファ ソ
そして、
メジャースケールから出来ている曲がメジャーキー
マイナースケールから出来ている曲がマイナーキー
でした。
仮に、Cメジャーで話をすると、
Cメジャースケール=Aマイナースケール
C△キー=Amキー
ということです。
ここからまず導き出せるのが、前にも少し触れた、
C△キーの曲でAmスケールを弾く
というプレイです。
ではなぜ、CメジャースケールをAmスケールと捕らえてプレイすることが有効になるのでしょう?
それは、
マイナーペンタの
ポジションで弾けるから
です。
感覚的に弾けるペンタを軸にプレイするという話を前に書きましたが、ペンタにはよく使うポジションというものがあります。(よく、初心者向けのブルース、ロックの教則本に書いてある、覚え易いアレです)
これは、チョーキングやスライド、ビブラート等との関係で弾き易いポジションという事ですから、AマイナーペンタをCメジャーの中に取り込む事によって、(実際にはCメジャーペンタを弾いている訳ですが)フレーズをまとめ、スケール練習的ソロから脱却するのに役に立つのです。
C D E F G A B C =C△
ラ シ ド レ ミ ファ ソ ラ
A B C D E F G A =Am
ここまでは理解出来たでしょうか?(本当に、ギターを持って教室でレッスンすれば理解し易いんですが・・・。)
さて、ここからが本題です。
キー=スケール
Cメジャースケール=Aマイナースケール
という事は・・・。
C△キー=Amキー
の関係も成り立つ訳です。(というか「平行調関係」といえば、普通こっちのC△キー=Amキーの事を指しますが、スケールから入った方が平行調関係を理解し易いので、あえてスケールから話を進めました)
ここまで理解すると、やっと平行調関係を実際のプレイに活かすアイデアが生まれてきます。
キーの拠り所はスケールです。
簡単に言うとキー=C△(この△はメジャーという意味です)の曲だとすると、その曲に使われている音というのは基本的には
Cから始まるドレミ
の音です。
ド レ ミ ファ ソ ラ シ ド
C D E F G A B C =C△
これをラから並べ替えてマイナースケールにしてみましょう。
ラ シ ド レ ミ ファ ソ ラ
A B C D E F G A =Am
このマイナースケールはAから始まるのでAマイナースケールです。
このAマイナースケールを拠り所として作られている曲がキー=Am(このmはマイナーという意味)の曲という事になります。